平成20年4月19日 500円の会〜One Coin Fund〜

第7回定例会

フィリピン勉強会






第七回目の定例会では、5月にあるフィリピンエクスポージャーに向けて、エクスポージャーに参加する500円の会のスタッフが 調べたことを発表してもらいました。



フィリピン共和国  Republic of the Philippines



一般事情

1.面積:299,404平方キロメートル(日本の約0.8倍)。7,109の島がある。
2.人口:8,310万人(2005年世界銀行データ)
3.首都:メトロ・マニラ(人口993万人)
4.民族:マレー系が主体。他に中国系、スペイン系、及びこれらとの混血、更に少数民族がいる。
5.言語:国語はフィリピノ語、公用語はフィリピノ語と英語。80前後の言語がある。
6.宗教:国民の83%がカトリック、その他のキリスト教が10%、イスラム教は5%。
7.平均寿命:男性67歳、女性73歳
8.識字率:92.2%(2000年調査)
9.大学進学率:約30%(職業訓練専門学校レベルのものを含む)



フィリピンの貧困と雇用について

フィリピン政府は、国内労働者の海外雇用を重要な国家戦略として位置づけ、1960年代末、フィリピンのマルコス大統領は 国策としてフィリピン人の海外での就労を奨励しました。
目的は三つ。
 @海外雇用により国内の失業率を緩和する
 A海外で技術を修得し、人的資源開発に貢献する
 B国内への送金を義務付けることにより、外貨獲得、しいては、国際収支改善に貢献する
国家の命運をも左右する海外出稼ぎ労働者を支援するため、政府は、職業訓練など幅広いサポート体制の構築に積極的な姿勢を示しました。
2001年以降、二国間協定を積極的に締結し、国内労働市場の海外労働市場への直結を促しています。



《貧困率》

フィリピンの貧困率(Poverty Incidence ) は28.4%です。
地域差が激しく、都市部では15%、一方農村部では41.4%です。
貧困率28.4%、これは、7650万人の人口のうち34%が貧困状況にあることを意味しています。



《雇用先と就労内容》

これまでにフィリピンは140カ国以上に「フィリピン人海外労働者(OFW;Overseas Filipino Workers)」を派遣してきてきます。
うち、最も多い派遣先が、@中東地域(全体の33〜35%)
Aアジア地域(全体の29〜37%)Bヨーロッパです。
2003年度の調査によると、OFWの派遣先として多い国は以下のような国です。
1.サウジアラビア(17万人) 2.香港(8万5千人) 3.日本(6万2千人)
4.アラブ首長国連邦(5万人) 5.台湾(4万5千人) 6.クェート(2万6千人)

@中東地域
多くがオイルマネーによる活況が背景の、建設関係の技術・労働者。
また、イラクなどにも派遣され、駐留する米軍向けサービス関連業務で働くフィリピン人も数千人います。
これは独立後も政治・経済的に米国の強い影響下にあったフィリピンを象徴的に物語っています。

Aアジア地域
アジアは国別に考えると、シンガポールでは家政婦(ヘルパー)として、日本ではエンタテイナーとして、 台湾では工場労働者としての就労が多いのが特徴です。

Bヨーロッパ
多くが看護師などの専門職。



《雇用者の特徴》
2002年の調査によると、新規雇用のOFWのうち69%が女性であり、雇用内容では看護師などの専門職が圧倒的に多く、 次いで多いのがヘルパーなどのサービス部門です。
女性の雇用先としては、@香港 Aサウジアラビア Bシンガポールの順に多いようです。
また、2004年の調査報告によると、OFWの特徴として女性が多い事の他に、地方出身者が多いというのも特徴であるようです。
OFWを多く排出している地域は以下のような貧困地域(マニラ首都圏以外)です。
@イロコス A南部タガログ B中部ルソン Cマニラ首都圏
Dカガヤン・バレー E西部ビサヤ F南部ミンダナオ
Gコルディレーリャ Hムスリム・ミンダナオ(ARMM)


 
《国内雇用創出》
2002年、国内の雇用創出のため、北ミンダナオ・カラガ地域を対象に、海苔養殖業の育成プログラムが実行されました。



《海外雇用のメリット・デメリット》

メリット
●高い収入
●教育過程終了後の資格授与
 フィリピンの教育普及率は比較的高いため、これを利用し資格をとることができる。
●英語が話せる
 米国の統治下にあったフィリピンでは英語は公用語となっているため、これを利用し海外でもコミュニケーションがとりやすい。
●フィリピン人の明るい性格、ホスピタリティーが、サービス産業に従事する上で重要な要素として働く。

デメリット
●頭脳流出
 国内での高い失業率により仕方なく海外へ雇用を求めたり、看護師などの専門職者が海外での雇用を希望し、  国内での技術、医療水準が低下する。
●労働者の保護の崩壊
 慣れない海外社会で過酷な労働を強いられる。
●家族の崩壊
 フィリピンに残された家族の、送金に依存することによる労働意欲の減退や、家族の離散、家庭の崩壊。
 また、母親が出稼ぎに行く家庭の子供は、学校の成績があまりよくなく、また、情緒不安定になりがちであるという報告もある。
●海外で事件に巻き込まれるケースが多い。



《雇用のジレンマ》
フィリピン国内では、毎年100人に1人が海外へ出稼ぎに行っています。
生活を維持するためには、海外就労に頼らざるを得ないのがフィリピンの現状なのです。
海外で稼いだお金はせっせと国内へ送金し、この送金がフィリピン経済を底支えしています。
政府は海外雇用を重要な国家戦略として位置づけており、積極的な二国間協定締結により、国内での雇用は更に困難になっています。
フィリピンのマスメディアと歴代大統領は海外就労者をフィリピンの英雄として公に褒め称え、 宗教家も彼らは一番有力な宣教師だと宣言しています。
移民労働者を記念する祭日も作られています。
このような国内の環境下において、国内雇用のチャンスが十分でない以上、海外に職を求めて出国する労働者は 今後もますます増え続けることに変わりはないと考えられます。



《児童労働》
1995〜2001年の調査結果によると、5〜17歳の児童のうち、400万人(16.2%)が何らかの労働に従事していることがわかりました。
最も多いのが
@南部タガログ地方・・・46万1000人(11.5%)
A中部タガログ地方・・・38万8000人(9.7%)
B東部ビザヤ地方・・・34万9000人(8.7%)
多くは季節的な労働か、休暇期間中の勤労だが、4人に1人の児童労働者は、常勤の雇用形態です。
また、児童労働者400万人のうち、10人のうち7人が学校に通学していますが、 うち、120万人(44.8%)は学業に追いつけないなどの問題を感じていると回答し、5人に1人が中途退学しています。
さらに、労働環境を見てみると、児童労働者400万人のうち240万人(59.4%)は悪い労働条件の就労しており、うち、 70%が劣悪な労働条件で就労しています。





3月分の賛同金

12550円

みなさんご協力ありがとうございました。









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